
2021年12月24日。
物語と同じ日付に公開された
劇場版 呪術廻戦0。
観客動員数980万人、興行収入137億5000万円1という大ヒットを記録しました。
呪術廻戦0がここまで大ヒットした背景には、物語のキーパーソンである2人の登場人物が紡ぐ『愛と呪いの物語』に対する魅力を感じた人が多いからではないでしょうか。
今回は、劇場版 呪術廻戦0のテーマである『愛と呪いの物語』に隠された真実について紐解いていきたいと思います。
※この内容は呪術廻戦のネタバレを含みます。
劇場版 呪術廻戦0のあらすじ

幼少のころ、幼なじみの祈本里香を交通事故により目の前で失った乙骨憂太。
「約束だよ 里香と憂太は大人になったら結婚するの」
怨霊と化した里香の呪いに苦しみ、自身の死を望む乙骨だったが、
最強の呪術師・五条悟によって、呪術高専に迎え入れられた。そして、同級生の禪院真希・狗巻 棘・パンダと出会い、乙骨はある決意をする。
「生きてていいって自信が欲しいんだ」
「僕は呪術高専で里香ちゃんの呪いを解きます」一方、乙骨たちの前にかつて一般人を大量虐殺し高専を追放された最悪の呪詛師・夏油 傑が現れる。
「来たる12月24日 我々は百鬼夜行を行う」
呪術師だけの楽園を標榜する夏油は、非術師を殲滅させんと、ついに新宿・京都に千の呪いを放ち――
果たして、乙骨は夏油を止められるのか、
引用元:公式HP
そして、里香の解呪の行方は‥‥。
劇場版 呪術廻戦0を乙骨と五条の視点から考える
乙骨憂太にとっての『愛と呪い』

私が考える乙骨憂太にとっての『愛と呪い』は、以下の内容が当てはまるのかなと考えました。
1.里香という愛する人に出会えたこと
2.五条の言葉と導きによって生きる選択をとったこと
3.真希、棘、パンダという大切な友人ができたこと
1.愛する人の死を受け入れられなかったこと
2.自分の境遇を呪い、自己否定し続けたこと
【愛】1.里香という愛する人に出会えたこと
憂太と里香の出会いは病院。
幼い頃、憂太が入院していた時に病室にいる里香を見つけました。
その時の様子や思いをノベライズ版では次のように語っています。
息の詰まるような病院の中で、
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
憂太は奇麗なものを見つけた。
(略)
憂太が、里香を見つけた。
それが出会いだった。
それからの憂太の記憶は、
ずっとずっと、里香で彩られている。

ノベライズ版を読んで、小学生にもなっていない憂太にとって、里香との出会いは私が思っていた以上に大事なものだったんだなぁと感じました!
【呪い】1.愛する人の死を受け入れられなかったこと
そこまで愛する人、将来結婚の約束までした人が目の前で死んでしまったら…
到底受け入れることは難しいはず。
映画でもノベライズ版でも、憂太が里香の死を拒む様子が鮮明に描かれています。
あの時、憂太はただ、里香のことだけを考えていた。
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
ー里香ちゃん!どうしよう!死んじゃうの!?
ー助けなきゃ!
ー死んじゃダメだ、死んじゃダメだ、死んじゃダメだ!
ー”死んじゃダメだ”!!
極限の緊張、異常な集中。世界の全てを置き去りにするような、強い念。その時、確かに憂太は、心臓が強く跳ねる音を聴いた。
ーそうだ。僕はあの時、里香ちゃんの死を拒んだんだ。
結果的に、憂太はこの呪いを6年間も受け入れることができなかった。
将来を約束したはずの指輪は、肌身離さず持っていたのに、一度も薬指に嵌まることはなかった。
捨てることも、向き合うこともできないまま…
【呪い】2.自分の境遇を呪い、自己否定し続けたこと
里香が死んでからの6年間、憂太は、怨霊となってしまった里香が自分の周りの人を傷つけてしまうことに怯えて過ごします。
- 里香が人を傷つけることが怖い
- 里香の気配を感じて、家族からも疎まれる
- 怯えた態度からいじめの標的にされる
- なぜ自分の愛する人は死んでしまったのか
- 自分がいなければよかったんじゃないか?
自分では対処しきれない出来事が続けば、
自分なんて生きていないほうがいいと思ってしまうのも無理はありません。
心のよりどころだった里香は死んで、会話もままならないほどの状態になってしまった。
頼れる家族も友人もいない。
自分の生きている価値がわからなくなるほど、憂太は追い詰められていたに違いありません。
【愛】2.五条の言葉と導きによって生きる選択をとったこと
2016年11月。
同級生をロッカーに詰めた事件の発生により、
憂太の存在が呪術師たちに知られることになります。
そして、呪術高専の教師である五条の監視下に置かれ、呪術の世界へと導かれます。
この時、憂太は死のうとしたものの
里香に邪魔をされ、死ぬこともできずにいました。
そんな憂太を見て、五条はただ一言声をかけます。
一人は寂しいよ?
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
この言葉に、憂太は言い返すことができなかった。
本当は周りの大人がかけてあげるべき言葉を五条は言ってくれた。
それは、思春期と呼べる多感な時期に受ける傷は一生残ることを身をもって知っていた五条だからこそ響くものになったのでしょう。

呪術廻戦の中でも、五条は個人主義で軽薄とよく言われているけど、ちゃんと大人してるし、教師として必要な時に必要な言葉をかけてくれる存在だと思うなぁ
【愛】3.真希、棘、パンダという大切な友人ができたこと
憂太が出会った同級生3人。
最初の出会いはめちゃくちゃで、
里香が傷つけてしまったけれど、
共に過ごす内にお互いを理解できるようになった。
真希が教えてくれた。
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
パンダが笑顔にしてくれた。
棘が支えていてくれた。
皆のおかげで、里香と向き合えた。
どう生きればいいのか、見つけられた。
だから、「僕が!僕を!生きてていいって思えるように!」
皆と過ごした、この眩しい日々を、誰にも否定させないようにー。
「ーオマエは、殺さなきゃいけないんだ」
物語の中でも憂太の成長のきっかけは、
同級生3人との関わりの中にあったことが
描かれていますね。
きっかけ:小学校での合同任務にて
呪術高専で生きていく目的(自分の本心)を自覚し、初めて里香を自分の意志で呼び出すことができた
きっかけ:ハピナ商店街での合同任務にて
棘の優しさに触れ、自分を気遣ってくれる人がいることの嬉しさと、その優しさに応えたいという思いが芽生えた
きっかけ:折に触れて
仲間との関わりを深めながら、楽しく過ごすことを教えてもらった

心を預けられる友人がいるって心強いですよね。
自分の弱いところも、大切にしたいことも理解してくれる人がいるだけで、一人で戦っていたとしても前に進む勇気をもらえることがあるなぁと思います。
憂太にとって、同級生3人はまさに命に代えてでも守りたい大切な存在になっていることが、最後の夏油との闘いによく表れていると感じました!
五条悟にとっての『愛と呪い』

私が考える五条悟にとっての『愛と呪い』は、以下の内容が当てはまるのかなと考えました。
夏油がいた時の高専時代の思い出すべて
1.五条悟は現代最強の呪術師であること
2.夏油の葛藤に気づけず、一人で生きる選択をさせてしまったこと
3.夏油のような人間を生まないために教師になったこと
【愛】夏油がいた時の高専時代の思い出すべて
五条にとっての高専時代は、
懐玉・玉折編で描かれたように
夏油がいたことで成り立っていたといっても過言ではないでしょう。

アニメで描かれた様子をみて初めて、五条にとっての高専時代ってとんでもなく青春してたし、それが今を支えているんだ!と気づかされたんですよねぇ…
懐玉・玉折編の考察については、後日UPしようと思っていますので、詳しくはそちらをご覧ください^^
【呪い】五条悟は現代最強の呪術師であること
そして訪れた、星奬体の護衛任務失敗という過酷な経験。
その中で五条は覚醒し、
”現代最強の呪術師”と成った。
しかし、”2人で最強”と自負していた五条と夏油の間には、埋めることができない実力差が生まれてしまった。

変えようのない事実に、五条はより高みに上るために努力し、夏油は違いを見せつけられて打ちのめされる。 常に一緒だった2人の間に生まれる距離に切ない感情が募ってしまいます…
【呪い】夏油の葛藤に気づけず、一人で生きる選択をさせてしまったこと
星奬体の護衛任務失敗によって、夏油は自分の信条が根本から揺らぐことになります。
自分が呪術師として生きる上で最も大切にしていた核となる部分に疑問を抱いたときの葛藤は、暗闇の中を明かり無しで進み続けなければならないほど怖いことだと思います。
そんな夏油の葛藤を受け止めてやることができなかった五条について、ノベライズ版では次にように書かれています。
自分が自分を、生きてていいと思えるように。そのためには、夏油は歪んだ理想を追って生きるしかなかった。理想と現実の狭間に生まれた呪いに、夏油は沈んでいた。
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
歪むことしかできなかった男の、擦り減り続けてしまった男の、そんな最後の告白。
その呪いを受け取ることができたのは、五条だけだった。

ノベライズ版で語られたように、夏油を救うことができたのは五条だけだったという結論に、色んなたらればを思い浮かべてしまうのは私だけではないでしょう…
2人で最強と言ってたのに、1人だけ最強に成ってしまった。
置いて行かれる立場の心情を省みることなど、五条には考え付かなかったのかもしれません。
そして結果的に夏油は、五条の元を去ってしまいました。
【呪い】3.夏油のような人間を生まないために教師になったこと
夏油を失って初めて、その存在の大きさに気づいた五条が出した答えが”教師になる”ことでした。
自分だけが強くても救える人は限られている。
だからこそ、どんな理不尽な場面に遭遇しても這い上がってくる力を持つ人を育てることが、夏油のような存在を生まないために必要だと考えたのでしょう。
1人だけでなく大勢の人を育て、育てた者同士で支え合っていけるような世界を創ること。それが、五条にとって、夏油を救えなかったことに対する懺悔のような行動となったのではないでしょうか。
育てる 強く聡い奴らを
呪術廻戦 第220話 自浄自縛
もう誰も独りにさせない

五条が教師として生きる指針の言葉。
この信条を貫き通している姿は、もはや呪いとなるほど大きな想いになっていたのかもしれないですね
乙骨と五条 それぞれの『愛と呪いの物語』の結末
乙骨と五条、それぞれの『愛と呪いの物語』は”大切な人との別れ”という結末を迎えます。
里香を解呪し、里香は成仏する
夏油を処刑する
また、どちらにも共通することとして、
最期に”呪いをかけなかった”ということが当てはまるのではないでしょうか。
憂太:里香と共に死ぬ覚悟がある
里香:憂太を道連れにするつもりはない
憂太と里香は、それぞれがお互いを思う愛で溢れた最期を迎えました。
特に里香の想いはノベライズ版で次のように書かれています。
里香にあったのはただ、憂太の幸せを願う、純粋な愛だけだった。
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
(略)
憂太だって、いつかは死ぬ。それをいそぐことなんてない。もっと笑って、もっと経験して、もっと色々なものを見てほしい。里香は憂太にそう願う。
(略)
だから、どうかそれまでは、愛しき人の死ぬまでに、多くの幸がありますように。
五条:夏油に自分の想いを告げる
夏油:最期は高専時代のような自分で
五条と夏油は、高専時代に言えなかった本音を伝えることができました。
特に、五条が夏油に告げた言葉は明確にされておらず、何を言ったのか気になる方も多いのではないでしょうか?
過去に、作者の芥見先生が五条のセリフについて明かしていたことがあります。
0巻の中で言ってます。
引用:呪術廻戦ファンブック P116
つまり、呪術廻戦0のエピソードの中で五条が言っていたセリフが当てはまるということ!!

様々な考察がありますが、
私はこれ一択。
僕の親友だよ。
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
たった一人のね
理由はノベライズ版で書かれた内容。
夏油傑。それは、呪術高専という組織にとっては忌むべき名前。四人の特級術師が一人、百を超える一般人を呪殺し、呪術高専を追放された最悪の呪詛師。
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
そして、五条悟にとってはー。
そう!この内容の後に五条が夏油に言葉を告げるんです!
”世間にとっての夏油”と
”五条にとっての夏油”という
違いを感じる言葉が入るのではないかと思いませんか?
劇場版 呪術廻戦0は『愛と呪い』が交錯した味わい深い物語
呪術廻戦0の中でも、
印象的な五条のセリフがあります。
”愛”ほど、歪んだ呪いはないよ
引用:劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
一見すると、対立した関係にある言葉のように思えます。

しかし、呪術廻戦0をすべて見終わった上でもう一度聞くと、愛も呪いもお互いに干渉し合って存在しているのかなと思うようになりました。

皆さんは『愛と呪い』について、
どのような意味を持ったものに感じたでしょうか。
ぜひ、コメントで教えてください!
劇場版 呪術廻戦0 2025年3月19日地上波にて放送!
原作漫画は2024年に最終回を迎えましたが、
2025年5月30日には劇場版『懐玉・玉折』の公開、さらにアニメ第3期『死滅回游編』の制作などまだまだ人気が続いています。
そして、まだ映画を見たことがない人は必見!
この度、2025年3月19日 19:50~
MBS/TBS系列にて地上波放送されます!
映画の地上波放送があるときは、
呪術廻戦に関する何かしらの発表があることも多いので要チェックですね✨
祝日の前日放送なのが嬉しい!
私もTV前で全力待機します!
今回の考察の視点も踏まえながら、
映画を楽しんでもらえたら嬉しいです。
- 日本での記録(参考:https://www.oricon.co.jp/news/2236470/full/) ↩︎
- 劇場版 呪術廻戦0 ノベライズ
- 呪術廻戦 公式ファンブック
- 呪術廻戦 25巻
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